店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 血のつながりだけではない家族や居場所について考えたい時
- 刺さるポイント
- 施設で暮らす子どもたちの別れと願いを、蛍祭りの再生に重ねて描く
- 向いている人
- やさしさと切なさのある成長物語を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、朝井リョウさんの長編小説 『世界地図の下書き』をご紹介します。
主人公の太輔は、両親を事故で亡くし、児童養護施設で暮らしている小学生です。施設には、それぞれの事情を抱えた子どもたちがいて、にぎやかで、時にぶつかり合いながらも、ひとつの家族のような時間を過ごしています。物語は、施設を出ることになった高校生の佐緒里のために、太輔たちがかつて地域で行われていた蛍祭りを復活させようとするところから動き出します。
この小説は、子どもたちの健気さだけを描く物語ではありません。大人の事情では簡単に片づけられない寂しさや、別れを受け入れなければならない痛みも、きちんと描かれています。太輔たちは、自分たちにできることを探しながら、誰かを喜ばせたいという思いを行動に変えていきます。その過程で、家族とは何か、居場所とは何か、誰かを送り出すとはどういうことかが、少しずつ浮かび上がってきます。
タイトルにある「下書き」という言葉も印象的です。完成された世界地図ではなく、これから何度でも線を引き直せる下書き。子どもたちの未来は、まだはっきりとは見えていません。それでも、誰かと過ごした時間や、誰かのために動いた記憶が、これから歩く道の目印になっていきます。
切なさの中に、あたたかさと希望が残る一冊です。大切な人を送り出す場面で、寂しさだけでなく、祈るような明るさも感じたい人に向いています。
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