店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 家族との距離や別れを、静かな余韻の中で見つめたい時
- 刺さるポイント
- 父が残した喫茶店をめぐり、六人きょうだいそれぞれの声が家族の形を浮かび上がらせる
- 向いている人
- やさしい青春群像劇や、少し切ない家族小説を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、 朝井リョウさんの連作長編、 『星やどりの声』についてお話しします。
舞台は、海の見える町にある喫茶店、星やどり。父を亡くした一家には、母と六人のきょうだいが残されています。店を続ける母、進路や恋や自分の立ち位置に揺れる子どもたち。それぞれの日常は大きな事件で派手に動くわけではありませんが、家の中で言えなかった言葉や、互いを思っているのにすれ違ってしまう気持ちが、章ごとに少しずつほどけていきます。
この作品の魅力は、家族をひとつのまとまりとしてではなく、一人ひとり違う痛みと願いを持った人間として描いているところです。長男には長男の責任感があり、妹や弟には自分だけが抱えていると思っている寂しさがあります。父の不在は全員に同じように降りかかっているはずなのに、その受け止め方は少しずつ違う。その違いがあるからこそ、家族は近くにいるのに見えにくい存在なのだと伝わってきます。
朝井リョウさんらしい、若い登場人物の会話の自然さも読みどころです。大げさに泣かせるのではなく、ふとしたやり取りや言葉の裏側から、誰かを大事に思う気持ちがにじみます。読み進めるほど、喫茶店という場所が単なる店ではなく、家族がそれぞれの明日へ向かうための待合室のように感じられてきます。
青春小説としても、家族小説としても読める一冊です。別れや卒業の気配があるのに、読後には暗さよりも、少し背筋を伸ばして歩き出したくなるような温かさが残ります。
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