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この棚で手に取りたい理由
要約の冒頭と棚の手がかりから、手に取る理由をまとめました。
- 読みどころ
- 今日は、 原田ひ香さんの作品、 『老人ホテル』 についてお話しします。
- 棚のジャンル
- 社会問題 / 経済
- 試し聴き
- 音声レビューで、読む前に作品の雰囲気を確かめられます。
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 原田ひ香さんの作品、 『老人ホテル』 についてお話しします。
主人公の日村天使は、大家族の中で育ち、高校を中退してからも、自分の人生をどう立て直せばいいのかわからないまま暮らしてきました。生活保護を受けながら日々をやり過ごしていた彼女は、ある古びたビジネスホテルで清掃員として働き始めます。
そのホテルには、訳ありの高齢者たちが長く滞在しています。中でも天使が強く意識するのが、かつて裕福に暮らしていた光子という女性です。光子との出会いを通して、天使はお金の使い方、貯め方、住まい、仕事、人に頼ることの難しさを、現実の問題として知っていきます。
本作の特徴は、貧困や老後の不安を、遠い社会問題としてではなく、一人の若い女性の切実な生活として描くところにあります。天使は善良なだけの主人公ではありません。ずるさもあり、焦りもあり、誰かを利用しようとする危うさもあります。だからこそ、彼女が少しずつ社会の仕組みを学び、自分の足で立とうとする変化に実感があります。
ホテルという場所も印象的です。家ではないけれど、ただの一時的な宿でもない。高齢者たちがそれぞれの事情を抱えて滞在する空間は、老い、孤独、お金、家族との距離を映し出します。そこで働く天使は、自分とは関係ないと思っていた老後の問題が、実は若い今の選択ともつながっていることに気づいていきます。
暗い題材を扱いながらも、物語は説教だけにはなりません。無知なままでは搾取されること、けれど学び直せば見える景色が変わることを、生活感のある筆致で読ませる一冊です。
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