店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 『何者』の登場人物たちのその後や裏側を、もう少し知りたくなった時
- 刺さるポイント
- 就活の枠を越えて、何者かになったつもりの自分が揺らぐ瞬間を描く
- 向いている人
- 人間関係の続きや、働き始めてからの自意識をめぐる短編集を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、朝井リョウさんの短編集 『何様』をご紹介します。
この作品は、直木賞受賞作『何者』の世界につながるアナザーストーリー集です。就職活動の渦中にいた若者たちが、その前にどんな時間を過ごしていたのか、あるいはその後どんな人生に踏み出していくのか。光太郎、理香、隆良、サワ先輩、烏丸ギンジ、そして拓人に関わる人物たちの物語が、六つの短編として描かれます。
『何者』では、就活という場が人の本音や虚栄をあぶり出していました。本作では、その視点が少し広がります。面接が終わっても、内定を得ても、働き始めても、人は自分を説明する言葉から自由になれるわけではありません。自分はどう見られているのか。あの時の選択は正しかったのか。誰かを見下していたつもりが、実は自分も同じように何かにすがっていたのではないか。そんな問いが、短編ごとに違う角度から浮かび上がります。
魅力は、前作の補足にとどまらないところです。知っている人物の背景が見える楽しさはもちろんありますが、それぞれの短編は独立した人間ドラマとして読めます。恋愛、仕事、家族、表現、承認欲求。大人になっていく過程で避けられないテーマが、会話や小さな出来事の中に差し込まれています。
「何者かになりたい」と願った人が、今度は「何様なのか」と自分を問い返される。そんな痛みを持った一冊です。『何者』を読んだあとに手に取ると、登場人物たちの輪郭がより立体的に見えてきます。
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