本文へスキップ
森に眠る魚 表紙

森に眠る魚

2026年5月27日 更新

今日は、角田光代さんの『森に眠る魚』をご紹介します。

試し聴きする Amazonで見る

店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
親同士の関係や、子育ての競争が生む不穏さを読みたい時
刺さるポイント
仲のよい母親たちのつながりが、嫉妬と不安で変質していく
向いている人
日常の人間関係が少しずつ怖くなる群像劇が好きな人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、角田光代さんの『森に眠る魚』をご紹介します。

舞台は、東京の文教地区にある町です。子どもを通じて知り合った五人の母親たちは、はじめは同じ悩みを分け合える仲間として距離を縮めていきます。公園での会話、習い事、幼稚園や小学校をめぐる情報交換。日々の小さな接点が、彼女たちに安心感を与えているように見えます。

けれど、その関係は少しずつ変わっていきます。子どもの成績や進路、夫の仕事、住んでいる場所、家庭の余裕。比べるつもりがなくても、比べずにはいられないものが増えていき、仲間だったはずの相手が、いつの間にか自分を脅かす存在にも見えてきます。親しさの中に嫉妬や疑いが混ざり、言葉にできない不安がそれぞれの心を追い込んでいきます。

この作品の怖さは、大きな事件の前に、すでに日常が軋んでいるところです。誰かが決定的に悪いわけではありません。孤独を埋めたい気持ち、子どものために失敗したくない思い、自分だけが置いていかれるのではないかという焦り。そのどれもが切実だからこそ、関係は簡単にほどけません。

角田光代さんは、母親たちを一枚岩には描きません。強く見える人、明るく振る舞う人、控えめに見える人、それぞれの内側に違う不安があります。複数の視点が重なることで、町全体が深い森のように見え、読者もその中で方向を見失っていきます。

『森に眠る魚』は、子育てと地域のつながりを背景に、親密さが不穏へ変わる過程を描いた群像劇です。身近な人間関係ほど逃げ場がなくなる、その静かな怖さが残ります。

Nearby Shelves

近くの棚を見る

似た読み味と関連トーク

近くの棚: 似た読み味の本

4冊を棚から抜粋

Discover More

この本から広げて探す

テーマ・悩み・著者から次の一冊へ

もっと本を探す

近いジャンルや著者から、今の気分に合う本を続けて探せます。

SNSへの共有

この本をシェアする

あなたへの次のおすすめ

Books / Talks