店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 育児、仕事、家庭の役割分担に息苦しさを感じている時
- 刺さるポイント
- 立場の違う女性たちが、育児ブログの炎上と失踪をきっかけに本音をぶつけ合う
- 向いている人
- 社会の問題を、自分ごとの人間ドラマとして読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 飛鳥井千砂さんの作品、 『見つけたいのは、光。』についてお話しします。
この物語は、育児ブログをめぐって交わらなかったはずの女性たちの人生がつながっていく長編です。育休中でありながら、保育園探しと求職の壁に苦しむ亜希。職場で妊娠や育休の穴を埋め続け、疲弊していく茗子。さらに、ブログの向こう側にいた女性の存在が、二人の感情を大きく揺らしていきます。
扱われているのは、育児と仕事、持つ者と持たざる者、家族の中で見えにくくなる負担、そしてネット上でむき出しになる怒りです。けれどこの作品は、誰かを一方的に正しい側へ置く物語ではありません。子どもを持つ人の苦しさも、持たない人や持てなかった人の痛みも、仕事を背負わされる人の限界も、それぞれの言い分として正面から描かれます。
読みどころは、登場人物たちがきれいに和解する前に、まず本音をぶつけ合うところです。羨望、怒り、罪悪感、諦め。普段なら飲み込んでしまう感情が言葉になった時、相手を責めるだけでなく、自分が何を求めていたのかも見えてきます。物語が探している「光」は、誰かに与えられる正解ではなく、自分の立場を言葉にし、別の人の痛みを知った先にかすかに見えてくるものです。
重いテーマを扱いながらも、物語は単なる告発には留まりません。亜希にも茗子にも、それぞれに見えている景色があり、どちらか一方だけを責めれば済む問題ではないことが伝わってきます。家庭の中で見えない労働を担う人、職場で穴埋めを引き受け続ける人、匿名の言葉に逃げ込んでしまう人。そうした人たちの孤独が交差することで、読者自身の生活にもある小さな歪みが浮かび上がります。
『見つけたいのは、光。』は、現代の生活の息苦しさを、鋭さと温かさの両方で描く一冊です。社会問題としてではなく、ひとりひとりの声として読める物語を求めている人におすすめです。
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