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鍵のかかった部屋 表紙

鍵のかかった部屋

2026年5月27日 更新

今日は、貴志祐介さんの『鍵のかかった部屋』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
密室だけを集中して味わう短編集を読みたい時
刺さるポイント
防犯の発想から、閉ざされた部屋の不可能性をひとつずつ崩していく
向いている人
榎本径と青砥純子の掛け合いと、精密なトリックの両方を楽しみたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、貴志祐介さんの『鍵のかかった部屋』をご紹介します。

本作は、防犯探偵・榎本径と弁護士の青砥純子が登場するシリーズ第三作です。収録されているのは、表題作を含む密室ミステリーの短編です。自殺に見える不自然な死、欠陥住宅をめぐる事件、舞台上で起きる不可解な殺人など、どの物語でも「どうやってそんな状況が成立したのか」という一点が強い謎になります。読者は事件の背景を追いながら、同時に部屋、鍵、窓、建物の構造を頭の中で組み立てることになります。

榎本の魅力は、事件を感情で押し切らず、物理的な条件から淡々と不可能を疑うところにあります。彼は防犯の専門家として、鍵や建材、侵入経路、視線の抜け道に目を向けます。普通なら「密室だから無理」と思ってしまう場面でも、何が本当に閉じられていて、何が思い込みなのかを分解していく。その過程が、このシリーズならではの知的な面白さです。

一方で、青砥純子の存在が物語に軽さと人間味を加えています。榎本の説明は理屈としては鋭いものの、どこか突き放した雰囲気があります。そこに純子の驚きや疑問が入ることで、読者は専門的なトリックを追いやすくなり、事件の背後にある人間関係にも目を向けられます。

『鍵のかかった部屋』は、派手なアクションよりも、密室の成立条件をじっくり考える楽しさが前面に出た一冊です。短編ごとに状況が変わるため、少しずつ読み進めやすく、それでいて一作ごとにしっかりとした手応えがあります。防犯探偵・榎本シリーズの軽妙さと、貴志祐介さんらしい精密な仕掛けを味わいたい人におすすめです。

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