店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 立ち止まった人が、食べることと働くことを通じて再生する物語を読みたい時
- 刺さるポイント
- 米作りの季節の中で、人とのつながりと生きる力が少しずつ戻ってくる
- 向いている人
- 家族、再生、農ある暮らしを描いた温かな成長小説が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、原田マハさんの『生きるぼくら』をご紹介します。
主人公の麻生人生は、いじめをきっかけに心を閉ざし、家に引きこもっていた二十四歳の青年です。頼りにしていた母が突然いなくなり、残された年賀状の束の中から、祖母の存在を思い出します。四年ぶりに外へ出た人生は、祖母が暮らす蓼科へ向かいますが、そこで待っていたのは、想像していた再会とは少し違う現実でした。
本作は、米作りを通じて人が少しずつ生きる力を取り戻していく物語です。田んぼの土に触れ、苗を育て、天気に一喜一憂しながら、人生は自分の体で働くことを覚えていきます。誰かに必要とされること、食べるものを自分たちで作ること、ひとつの季節を人と一緒に越えること。その積み重ねが、閉じていた心にゆっくり風を通していきます。
物語には、人生だけでなく、祖母や周囲の人々もそれぞれの痛みを抱えて登場します。だからこそ、再生は単純な励ましではありません。弱さを抱えたままでも、手を貸し合い、食卓を囲み、明日の作業を考える。その現実的な営みの中に、前を向く力が生まれていきます。
『生きるぼくら』は、疲れた心にまっすぐ届く成長小説です。家族の物語としても、食と暮らしの物語としても読み応えがあり、読み終えたあとには、温かいごはんを大切に味わいたくなる一冊です。
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