店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- Vシリーズの人物たちに慣れたところで、伝統芸能と人形が絡む異色の事件を読みたい時
- 刺さるポイント
- 乙女文楽の舞台で起きる死と、過去の事件、人形にまつわる不穏な気配が重なっていく
- 向いている人
- 論理の切れ味だけでなく、紅子たちの関係性や会話の癖も楽しみたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、森博嗣さんの『人形式モナリザ』をご紹介します。
本作は、瀬在丸紅子、保呂草潤平、小鳥遊練無、香具山紫子たちが登場するVシリーズの一作です。物語の中心にあるのは、伝統芸能である乙女文楽の舞台と、人形に強い執着を抱く一族です。上演のさなか、衆人環視の状況で演者が命を落とし、さらに二年前に起きた別の死が現在の事件と結びついていきます。人形、悪魔めいた噂、閉じた家族関係が重なり、事件は単純な舞台上の事故では済まない様相を帯びていきます。
『人形式モナリザ』の面白さは、横溝正史的な旧家の不穏さと、森博嗣さんらしい乾いた会話が同じ場所に置かれているところにあります。人形は人間に似ているからこそ怖く、人間のほうもまた、役割や家の歴史によって形を与えられているように見えてきます。紅子たちは事件を追いますが、謎を解くこと以上に、誰が何を演じ、誰が何を隠しているのかを見極める読書になります。
読者の印象としては、Vシリーズの登場人物たちの個性がいっそう前に出る巻として受け止められることが多い作品です。事件の派手さだけで引っ張るのではなく、紅子と保呂草、練無や紫子の距離感が、謎の周囲に独特の空気を作ります。人物のやり取りを楽しみながら読み進めるほど、最後に残る違和感や皮肉も効いてきます。
『人形式モナリザ』は、舞台、人形、家族の秘密を、冷静な論理と少し奇妙なユーモアでほどいていくミステリーです。Vシリーズの雰囲気に入り始めた人が、紅子たちの癖のある魅力をさらに味わいたい時におすすめです。
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