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この棚で手に取りたい理由
要約の冒頭と棚の手がかりから、手に取る理由をまとめました。
- 読みどころ
- 今日は、 池井戸潤さんの『果つる底なき』についてお話しします。
- 棚のジャンル
- 社会 / ミステリー
- 試し聴き
- 音声レビューで、読む前に作品の雰囲気を確かめられます。
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、 池井戸潤さんの『果つる底なき』についてお話しします。
物語は、銀行員の伊木遥が、同期で親友だった坂本の突然の死に向き合うところから始まります。坂本は亡くなる直前、伊木に謎めいた言葉を残していました。死因は一見すると不運な事故のように見えますが、伊木はその背後に銀行内部の闇と、取引先をめぐる不自然な動きがあるのではないかと疑い始めます。さらに坂本の妻は、かつて伊木が深く関わった女性でもあり、事件は仕事上の調査だけでは済まない重さを帯びていきます。
この作品の魅力は、金融ミステリーとしての硬質な謎解きと、組織の中で働く人間の弱さが絡み合っているところです。債権回収、粉飾、融資判断といった銀行の現場が物語の緊張を作り、その裏で、出世や保身、友情や後悔が人を動かしていきます。伊木は派手な英雄ではありません。迷い、傷つきながらも、親友が何を背負っていたのかを確かめるために、一歩ずつ暗い場所へ踏み込んでいきます。
池井戸作品の原点に触れたい人に向いた一冊です。後の企業小説に通じる組織との対決や、働く人の矜持がすでに濃く表れていて、ミステリーとして読み進めながら、銀行という巨大な仕組みの中で個人が何を守れるのかを考えさせられます。
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