店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 犯人側の視点で進む、テンポの速い心理戦を楽しみたい時
- 刺さるポイント
- 狂言誘拐というゲームが、プライドと計算のぶつかり合いへ変わっていく
- 向いている人
- 駆け引き中心のサスペンスや、最後まで優劣が読めない物語が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、東野圭吾さんの犯罪サスペンス 『ゲームの名は誘拐』をご紹介します。
主人公の佐久間は、広告業界で腕を鳴らすプランナーです。自信を持って進めていた大きな企画を、取引先の重役である葛城に一方的に潰されたことから、彼のプライドは大きく傷つけられます。怒りを抱えた佐久間は葛城の屋敷へ向かい、そこで家を飛び出そうとしていた若い女性と出会います。
二人は、葛城を相手にした狂言誘拐を企てます。身代金を奪うための犯罪でありながら、佐久間にとっては自分の頭脳を証明する勝負でもあります。相手の行動を読み、手がかりを残さず、通信手段を使い分ける。物語は、警察の捜査よりも、仕掛ける側の計算と緊張を前面に出して進んでいきます。
この作品の面白さは、誘拐事件を「ゲーム」として扱う軽やかさと、その軽やかさが少しずつ危うさへ変わっていくところにあります。登場人物たちは皆、自分が盤面を支配しているつもりで動きます。しかし、人の感情や偶然は、どれほど精密な計画にも入り込んできます。勝っているのは誰なのか、そもそも勝敗とは何なのかが、読み進めるほど揺らいでいきます。
派手なアクションよりも心理戦を楽しみたい人、犯人側の視点で進む緊張感を味わいたい人に向いた一冊です。読みやすくスピード感がありながら、プライドに支配された人間の脆さが後味として残ります。
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