店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 親しいはずの関係が、証言によって少しずつ歪んで見えてくる物語を読みたい時
- 刺さるポイント
- 五人の幼なじみをめぐる事件を、複数の証言から立体的に見直していく心理劇
- 向いている人
- 人間関係の違和感や、記憶と自己正当化の怖さを味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、貫井徳郎さんの長編ミステリー『不等辺五角形』をご紹介します。
物語の中心にいるのは、インターナショナルスクールで出会い、長い付き合いを続けてきた五人の男女です。三十歳を前に久しぶりに集まった彼らは、別荘で旧交を温めます。ところがその夜、ひとりが命を落とし、別のひとりが自分が殺したと告げます。親密なはずだった関係は、一気に被害者、被疑者、証言者という形へ変わってしまいます。
この作品では、残された人物たちの証言を通して、過去の出来事が何度も見直されます。同じ思い出を語っているはずなのに、立場が変わると見え方も変わる。仲の良い友人グループに見えていた五人のあいだに、羨望や依存、遠慮、優越感のような細かな歪みが潜んでいたことが浮かび上がります。
読みどころは、誰が本当のことを言っているのかという謎だけではありません。人は自分の記憶をどれほど都合よく整えてしまうのか。親しさは本当に相手を理解していることと同じなのか。証言が積み重なるほど、五人の関係はきれいな形を失い、タイトルのように不安定な輪郭を帯びていきます。
『不等辺五角形』は、閉じた人間関係の中で起きる事件や、心理のズレを読むミステリーが好きな人に向いた一冊です。真相に近づくほど、事件そのもの以上に、人が長い時間をかけて抱え込んできた感情の重さが迫ってきます。
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