店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 記憶と前世の揺らぎをめぐる、ひんやりした心理ミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 画家の死と主人公の既視感が重なり、自分の記憶が信じられなくなっていく
- 向いている人
- 幻想味のある謎解きと、人の内側に忍び込む不安を一緒に味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、恩田陸さんの『不安な童話』をご紹介します。
主人公の古橋万由子は、亡くなった女流画家、高槻倫子の遺作展を訪れたことで、強烈な既視感に襲われます。見たことがないはずの絵や道具が、なぜか自分の記憶の奥にある。さらに倫子の息子から、万由子は二十五年前に殺された母の生まれ変わりかもしれないと告げられます。
物語は、前世や記憶という幻想的な題材を扱いながら、中心にはしっかりとしたミステリーがあります。高槻倫子はなぜ殺されたのか。彼女が残した遺書には何が隠されているのか。そして、万由子の中に流れ込んでくる記憶は本当に他人のものなのか。謎を追うほど、過去の事件と現在の不安が重なっていきます。
恩田陸さんらしい魅力は、怪異をはっきり怪異として断定しないところにあります。偶然とも思える感覚、思い込みかもしれない恐怖、けれど説明しきれない一致。その曖昧さが、読者の足元を静かに揺らします。転生という言葉だけでは片づけられない、人が記憶に支配される怖さがじわじわと迫ります。
『不安な童話』は、派手な事件よりも、心の中に入ってくる不穏さを楽しむ作品です。過去の罪、創作に宿る執念、自分が自分でなくなるような感覚に惹かれる人には、強く残る一冊です。幻想と推理の境目を歩くように読み進めたい時に向いています。
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