店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 出版業界の駆け引きと、笑顔の裏にある本音を軽快に味わいたい時
- 刺さるポイント
- 雑誌編集長のしたたかな戦いが、仕事小説の熱とエンタメ性を両立させる
- 向いている人
- お仕事小説、出版業界もの、ひと癖ある主人公の逆転劇が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、塩田武士さんの『騙し絵の牙』をご紹介します。
この作品は、大手出版社を舞台に、雑誌編集長の速水輝が会社の中で生き残りをかけて立ち回る、出版業界エンターテインメントです。速水は、人当たりがよく、ユーモアがあり、誰とでも軽やかに会話できる人物として登場します。けれど、その笑顔の奥には、組織の力学を読み、相手の思惑を利用し、ぎりぎりの場所で勝負するしたたかさが隠れています。
物語の中心にあるのは、売り上げ不振にあえぐ雑誌の存続問題です。社内の派閥争い、作家との駆け引き、広告や企画の現実、出版不況の重さが次々と押し寄せるなかで、速水は編集者として、また一人の会社員として追い込まれていきます。仕事の現場を描くリアリティがありながら、会話のテンポは軽く、ページをめくるほどに登場人物たちの本音と建前が見えてきます。
読みどころは、仕事小説としての面白さと、人間の裏表をめぐる心理戦が重なっているところです。誰が味方で、誰が敵なのか。いま見えている顔は本物なのか。そうした疑いが、出版という華やかで泥くさい世界の中で膨らんでいきます。タイトルの通り、見えていた絵が少しずつ別の形に変わっていく感覚も魅力です。
『騙し絵の牙』は、重厚な社会派作品とは少し違い、痛快さと苦さを併せ持った一冊です。働く場所で何かを守ろうとする人、組織の中で自分の武器を探している人に、よく刺さる物語だと思います。
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