店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 推し、家族、恋慕がゆがんでいく不穏な連鎖を読みたい時
- 刺さるポイント
- 一つの殺人事件から、憧れと依存と恨みが別々の人物の人生を照らし出す
- 向いている人
- 短い章を重ねながら最後に全体像が反転するタイプのミステリーが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、まさきとしかさんの『大好きな人、死んでくれてありがとう』をご紹介します。
北海道の廃ホテルで、かつて男性アイドルグループに所属していた南田蒼太が殺されます。華やかな場所にいたはずの人物が、なぜそんな場所で命を落としたのか。警察の捜査は、事件当夜に彼と接点を持った人々、かつての仲間、そして彼を引き取った親族へと広がっていきます。
本作は、一つの事件を中心にしながら、周囲の人々の人生が少しずつ浮かび上がってくる構成です。憧れの対象として誰かを見つめること。近くにいるのに本当の姿を知らないこと。愛情や応援のように見える感情が、いつの間にか支配や執着に変わっていくこと。事件の裏側には、そうした小さなずれが積み重なっています。
タイトルは挑発的ですが、物語が描くのは単なる悪意だけではありません。好きだったからこそ許せない。救われたかったからこそ相手を壊してしまう。そんな矛盾した感情が、複数の視点を通してじわじわと広がっていきます。誰が加害者で誰が被害者なのかという線が、読むほどに単純ではなくなっていくところに緊張感があります。
アイドルをめぐる物語としても、家族と孤独をめぐるミステリーとしても読める一冊です。章ごとに見える景色が変わり、最後に題名の意味が重く響いてくるタイプの作品を求めている人におすすめです。
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