店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 軽やかなテンポで、複数の出来事が一つにつながる連作ミステリーを楽しみたい時
- 刺さるポイント
- 会社と劇場の舞台裏で起きる小さな事件が、最後に思いがけない形で組み上がる
- 向いている人
- お仕事小説の空気感と、伏線がはまる快感を一緒に味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、芦沢央(あしざわよう)さんの連作ミステリー『バック・ステージ』をご紹介します。
物語は、会社に忘れ物を取りに戻った新入社員の松尾が、先輩の康子に巻き込まれる場面から動き出します。康子は、パワハラ上司の不正を暴くため、証拠を探していました。松尾は思いがけずその手伝いをすることになり、二人の行動は翌日に幕を開ける舞台公演の周辺へとつながっていきます。
同じ頃、劇場の周りではさまざまな出来事が起きています。息子の嘘に悩む母親、開演前に誰かを待つ青年、新人俳優の不安、名のある俳優をめぐる問題、届いた脅迫状。最初はばらばらに見える出来事が、それぞれの視点から語られていくうちに、少しずつ同じ舞台裏へ引き寄せられていきます。
本作の魅力は、深刻な題材を扱いながらも、読み味に軽やかさがあるところです。職場の理不尽さ、親子や友人とのすれ違い、舞台に立つ人と支える人の緊張感が描かれますが、物語は重く沈み込むだけではありません。小さな勘違いや偶然、登場人物たちの勢いが重なり、やがてパズルのピースがはまるような爽快感へ向かっていきます。
『バック・ステージ』は、表に見えている舞台だけでなく、その裏側で誰が何を抱えているのかを楽しむミステリーです。華やかな劇場の近くで起きる、ささやかだけれど本人には切実な事件。その一つひとつがつながった時、タイトルの意味が立ち上がります。芦沢央さんの作品の中でも、構成の巧さと読みやすさが光る一冊です。
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