店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 容赦ない犯罪アクションの中に、名前をつけにくい絆の強さを見たい時
- 刺さるポイント
- 暴力団の世界に放り込まれた二人の女性が、支配される役割からはみ出していく
- 向いている人
- 疾走感のあるサスペンスとシスターフッドを一緒に味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、王谷晶さんのクライムサスペンス小説 『ババヤガの夜』をご紹介します。
主人公の新道依子は、暴力を振るうことだけを自分の確かな感覚として生きてきた女性です。ある日、彼女は関東有数の暴力団、内樹會の会長の娘である尚子の護衛を任されます。華やかに守られているように見える尚子は、実際には家の都合や期待に縛られ、自分の人生を自分で選べない立場に置かれていました。
物語は、裏社会の抗争や追跡劇を背景に、依子と尚子が少しずつ互いの孤独を見抜いていく流れで進みます。依子は乱暴で危うい存在ですが、その暴力は単なる強さではなく、これまで自分を守るために身につけてきた生存の方法でもあります。尚子もまた、弱く守られるだけの人物ではなく、周囲が押しつける役割から抜け出そうとする意思を抱えています。
この作品の魅力は、血なまぐさいアクションの勢いと、二人の関係の静かな切実さが同時に走っているところです。友情や恋愛という言葉だけでは収まりきらない結びつきが、暴力的な世界の中で輪郭を持っていきます。読み手は、誰かの所有物として生きることを拒む二人の姿に、痛快さと痛みの両方を感じるはずです。
軽やかな読み心地の作品ではありませんが、短いページ数の中に強烈な熱量があります。犯罪小説としての緊張感、女性同士の連帯、そして自分の身体と人生を取り戻す物語を求めている人に向いた一冊です。
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