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あるキング 表紙

あるキング

2026年5月27日 更新

今日は、伊坂幸太郎さんの『あるキング』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
野球を題材にした寓話的な物語を読みたい時
刺さるポイント
天才的な野球選手として生まれた少年の人生を、神話のような距離感で描く
向いている人
王道の伊坂作品とは違う、奇妙で余韻の残る小説に触れたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、伊坂幸太郎さんの『あるキング』をご紹介します。

この作品は、野球を題材にしながら、まっすぐなスポーツ小説とは少し違う場所へ読者を連れていく物語です。中心にいるのは、山田王求という少年です。彼は幼いころから特別な打撃の才能を示し、周囲の期待や視線を一身に集めながら、野球選手としての道を進んでいきます。

ただし、本作で描かれるのは、努力して勝利をつかむ爽快な成功譚だけではありません。才能を持って生まれた人間は、本当に自由なのか。周囲が勝手に作り上げる物語の中で、本人はどこまで自分の人生を選べるのか。王求の歩みには、そうした問いがまとわりつきます。野球の場面には高揚感がありますが、同時に、英雄として見られることの孤独もにじみます。

伊坂幸太郎さんの作品としては、会話の軽快さや犯罪小説的なスピード感を前面に出したタイプではなく、寓話や神話に近い読み味があります。名前や設定にもどこか象徴的な響きがあり、現実の野球界をそのまま描くというより、人が一つの役割を背負わされる怖さを、少し距離を置いて見せているような作品です。

『あるキング』は、伊坂作品の中でも好みが分かれやすい一冊です。それでも、才能、期待、孤独、勝負の残酷さを、少し変わった角度から読みたい人には強く残ります。野球が好きな人はもちろん、ひとりの人間が「特別」と呼ばれることの重さを考えたい時にも向いています。

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