店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 大切な記憶の揺らぎから、人の心の奥へ入っていく物語を読みたい時
- 刺さるポイント
- 同じ過去を持つはずの二人の記憶の食い違いが、消えた人物の真実へつながる
- 向いている人
- 恋愛の余韻と心理ミステリーの不穏さを一緒に味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、辻堂ゆめさんの記憶をめぐる恋愛ミステリー 『あなたのいない記憶』をご紹介します。
物語は、大学生の優希と淳之介が、およそ十年ぶりに再会するところから始まります。幼いころ同じ絵画教室に通っていた二人は、久しぶりに思い出話をするうちに、ある人物についての記憶が食い違っていることに気づきます。優希にとってその人物は、子どものころに読んだ絵本の中にいた存在。けれど淳之介にとっては、まったく別の現実の人物として記憶されていました。
最初は単なる思い違いに見えた違和感が、調べるほどに大きくなっていきます。存在したはずの本、出会ったはずの人、共有していたはずの過去。それらが少しずつ足場を失い、二人は自分の記憶そのものを疑わざるを得なくなります。誰かが嘘をついているのか、それとも人の心が過去を別の形に作り替えてしまったのか。謎は、優希と淳之介の関係にも静かな影を落としていきます。
本作は、派手な事件よりも、記憶の不確かさが生む怖さと切なさに重点があります。大切にしてきた思い出が本当ではなかったかもしれないと知る痛み。忘れていたことを思い出す恐れ。それでも真実に近づこうとする二人の姿が、心理ミステリーとしての緊張感と、恋愛小説としての余韻を両立させています。
過去をめぐる謎が好きな人、自分の記憶や思い込みが揺さぶられる物語を読みたい人に向いた一冊です。読み終えたあと、心に残っている記憶の形を、少しだけ確かめたくなる作品です。
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