店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 恋愛の甘さと危うさが混ざるミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 不倫の高揚感が、過去の殺人事件の影によって少しずつ歪んでいく
- 向いている人
- 大人の関係とサスペンスの緊張感を同時に味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、東野圭吾さんの『夜明けの街で』をご紹介します。
主人公の渡部は、家庭を持つ会社員です。自分は不倫などしないと思っていた彼が、職場に現れた派遣社員の秋葉に惹かれていく。最初は危うい高揚感を伴う恋愛の物語として進みますが、やがて秋葉の過去に、時効が近づいた殺人事件の影があることがわかります。
この作品の面白さは、恋に落ちていく主人公の視界の狭さと、読者が感じる不穏さの差にあります。渡部は秋葉を知りたいと思いながら、自分に都合のよい解釈を重ねていきます。家庭を壊したくない気持ちと、彼女から離れられない気持ち。その揺れが、事件の謎と絡み合い、単なる恋愛小説でも、単なる犯人探しでもない読ませ方になっています。
秋葉という人物のつかみどころのなさも印象的です。彼女は被害者なのか、加害者なのか、それとも別の何かを隠しているのか。渡部の感情に引きずられて読むほど、真相に近づくのが怖くなります。甘さのある場面にもどこか冷たい影が差し、夜明け前の街のような、抜け出せない薄暗さが物語全体を包みます。
『夜明けの街で』は、大人の恋愛の危うさを入口にしたサスペンスです。理屈では間違っているとわかっていても止まれない感情と、過去の事件が持つ重み。その二つが重なることで、読み終えたあとに後味の複雑な余韻が残ります。
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