店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- コロナ禍の家族と孤立を、社会派ミステリーとして読みたい時
- 刺さるポイント
- 手話通訳士の荒井が、家庭と事件の両方で聞こえない孤独に直面していく
- 向いている人
- シリーズの人物関係を追いながら、現代的な社会問題も考えたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、丸山正樹さんの『わたしのいないテーブルで』をご紹介します。
『デフ・ヴォイス』シリーズ第四作にあたる本作は、二〇二〇年春の社会状況を背景にしています。休校や休園、感染への不安、仕事の制限。手話通訳士の荒井尚人の家庭にも、その影響は大きく及びます。刑事である妻のみゆきは現場に出続け、荒井は子どもたちの世話をしながら、以前のようには通訳の仕事に出られない日々を過ごします。
そんな中で、荒井のもとに支援チームへの協力依頼が届きます。扱われるのは、女性ろう者が聴者である母親を傷つけた事件です。何がそこまで追い詰めたのか。家庭の中で言葉が通じないまま積み重なったものは何だったのか。事件の調査は、コロナ禍で見えにくくなった孤独と、ろう者が家族の中で抱える孤立を浮かび上がらせていきます。
本作は、社会的なテーマを扱いながら、荒井自身の家族の物語としても読ませます。外に出られない時間、家庭内で増える負担、相手を思っているはずなのに届かない言葉。読者の受け止め方でも、時代の空気を反映した切実さと、シリーズを通して積み重ねられてきた人物描写の深まりが印象に残る作品として語られています。
『わたしのいないテーブルで』は、家族という近い関係の中にある、見えにくい断絶を描いた社会派ミステリーです。誰かと同じ食卓についていても、本当にそこにいると感じられないことがある。その寂しさを、事件の形を借りて静かに問いかけてくる一冊です。
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