店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 小さな恋心や、好きという気持ちの自由さをやさしく味わいたい時
- 刺さるポイント
- 言葉にすることだけが正解ではない、好きの形の多様さを短い物語で受け取れる
- 向いている人
- 恋愛の入口にある戸惑い、子どもの感情、やわらかな読後感の絵本が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、辻村深月さんが作を手がけた絵本、『すきっていわなきゃだめ?』についてお話しします。
この本は、子どものころの「好き」という気持ちを、まっすぐで少し不思議な距離感の中に描いた絵本です。恋の絵本シリーズの一冊で、絵は今日マチ子さんが担当しています。ページ数は短く、言葉も多くありません。けれど、その短さの中に、誰かを好きになる時の照れ、うれしさ、戸惑い、そして周りから決めつけられたくない気持ちが丁寧に置かれています。
物語の中心にあるのは、好きなら言葉にしなければいけないのか、という小さくて大きな問いです。人を好きになる気持ちは、いつも同じ形をしているわけではありません。名前をつけられる前の感情もあれば、誰かに説明した瞬間に少し違うものになってしまう感情もあります。この絵本は、そのあわいを無理に整理しません。子どもの気持ちを、子ども向けに薄めるのではなく、ひとりの人間の大切な感情として扱っています。
今日マチ子さんの絵は、言葉にしきれない気配をやわらかく受け止めています。視線の向きや余白の空気によって、登場人物の胸の中にある揺れが伝わってきます。読み聞かせにも向いていますが、大人がひとりで読んでも、忘れていた感情にそっと触れられるような一冊です。
『すきっていわなきゃだめ?』は、恋愛を決まりきった形で描く本ではありません。好きという気持ちを誰かのものさしで急がせず、自分の心の速度で大切にしていい。そんな静かな肯定が残る絵本です。
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