店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 切ない青春と、少し不思議な設定が重なる物語に浸りたい時
- 刺さるポイント
- 命に値段がつく世界で、相手を思う気持ちの本物らしさを問い直す
- 向いている人
- 余命ものや、静かに胸を締めつける恋愛小説が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、斜線堂有紀さんの作品、 『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』 についてお話しします。
この作品は、死とお金と恋をめぐる、とても切ない青春小説です。
舞台になるのは、閉じた土地で将来をあきらめかけている少年、江都日向の前に、都村弥子という女子大生が現れるところから始まります。
弥子は、身体が金に変わっていく不思議な病を患っています。彼女の死後、その身体には大きな金銭的価値が生まれる。そんな残酷な前提のもとで、弥子は日向に、自分を相続するよう持ちかけます。
二人をつなぐのは、古い盤上ゲームのチェッカーです。勝負を重ねる時間の中で、最初は利害に見えた関係が、少しずつ別のものへ変わっていきます。日向にとって弥子は、閉じた世界の外からやって来た光のような存在です。弥子にとって日向もまた、自分の死をただの値段にしないための、最後の相手になっていきます。
この物語のつらさは、好きになるほど、相手の死にまつわるお金の意味が重くなるところにあります。
もし相手を本当に思っているなら、死後に残る価値を受け取っていいのか。 お金が関係してしまった時、その気持ちは汚れてしまうのか。 それでも、生きている間に交わした言葉や時間は、誰にも奪えないものなのか。
作品は、こうした問いを過度に説明せず、二人の夏の記憶として積み上げていきます。
派手な事件で引っ張るというより、避けられない別れが近づいてくる緊張と、そこに抗おうとする感情で読ませる一冊です。
読み終えたあとには、正解のない選択を前に、それでも誰かを大切にするとはどういうことかが静かに残ります。
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