店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 自由に見える時期なのに、将来や恋や才能に縛られていると感じる時
- 刺さるポイント
- 大学生たちの焦りと孤独を通して、最初の一歩を踏み出す前の揺れを描く
- 向いている人
- 二十歳前後の不安や、まぶしさだけではない青春を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 朝井リョウさんの青春小説、 『もういちど生まれる』についてお話しします。
この作品に描かれるのは、何者にでもなれるようで、実際には何にもなれていないと感じている若者たちです。恋人がいるのに別の感情に揺れる人、家族との関係にうまく向き合えない人、才能の限界を感じながらも好きなものから離れられない人。大学生やその周辺にいる登場人物たちは、自由な時間の中にいるはずなのに、自分の未来をうまく選べず、足元の小さな不安にからめ取られています。
物語は、ひとつの大きな事件で全員を動かすのではなく、それぞれの生活にある小さな転機を積み重ねていきます。恋愛、進路、コンプレックス、家族へのわだかまり。どれも誰かに説明すれば些細に聞こえるかもしれませんが、本人にとっては世界の見え方を変えてしまうほど大きい。朝井リョウさんは、その切実さを軽く扱わず、かといって美化もしません。
読んでいると、若さは可能性だけではなく、選ばなければならない苦しさでもあるのだと感じます。何かを始める前には、自信よりも先に、比べる気持ちや逃げたい気持ちが出てくる。それでも登場人物たちは、誰かに完全に救われるのではなく、自分の足で少しだけ場所を変えようとします。そのわずかな動きが、この作品のタイトルにある「生まれる」という言葉につながっていきます。
きらきらした青春よりも、迷いや未熟さを含んだ青春を読みたい人に向いた一冊です。読み終えるころには、まだ何も決まっていない時期の不安も、人生の一部として抱え直せるような余韻が残ります。
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