店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 仕事や生活の中で、自分にとって本当に大切なものを見失いかけた時
- 刺さるポイント
- それぞれの場所で踏みとどまる人々を、短編ごとに異なる角度から描く
- 向いている人
- 派手な事件よりも、人が何を選び、何を守ろうとするかに惹かれる人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、森絵都さんの短編集 『風に舞いあがるビニールシート』をご紹介します。
この本には、仕事、恋愛、家族、信念のあいだで揺れながら、 それでも自分なりの価値を守ろうとする人たちの物語が収められています。 登場するのは、特別に強い人ばかりではありません。 才能ある相手に振り回される人、動物のために無理を重ねる人、 国際支援の現場で理想と現実の落差に苦しむ人。 それぞれが、生活の中で簡単には割り切れない選択を迫られています。
表題作を含む各編に共通しているのは、お金や効率だけでは測れないものを、 どうしても手放せない人間の姿です。 周囲から見れば不器用で、損をしているように見える生き方でも、 本人にとっては譲れない線がある。 その線を守ろうとする姿は、時に痛々しく、時にまぶしく映ります。
森絵都さんの文章は、登場人物を簡単に美化しません。 善意の中にある未熟さや、理想を掲げる人のわがままさも、きちんと描きます。 だからこそ、彼らが自分の弱さを抱えたまま一歩を踏み出す場面に、 作り物ではない力が宿ります。 短編集でありながら、一編ごとに仕事場や生活の手触りが濃く、 読み進めるほどに、さまざまな人生の断面を見ているような感覚になります。
タイトルにあるビニールシートは、軽く、頼りなく、風にさらわれてしまいそうなものです。 それでも、その下に守られているものや、その向こう側に見える空がある。 『風に舞いあがるビニールシート』は、 日々の中で何を大事にして生きるのかを、静かに問いかけてくる一冊です。
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