本文へスキップ
噛みあわない会話と、ある過去について 表紙

噛みあわない会話と、ある過去について

2026年5月27日 更新

今日は、 辻村深月さんの短編集、 『噛みあわない会話と、ある過去について』 についてお話しします。

試し聴きする Amazonで見る

店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
昔の記憶や人間関係のズレが、静かに怖くなる短編を読みたい時
刺さるポイント
美しい思い出として保存された過去の裏側が、再会や会話によって別の顔を見せる
向いている人
日常会話の違和感から心理の怖さが立ち上がる物語が好きな人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、 辻村深月さんの短編集、 『噛みあわない会話と、ある過去について』 についてお話しします。

この作品は、過去の記憶をめぐる違和感を描いた短編集です。タイトルの通り、物語の中では会話が少しずつ噛みあいません。片方にとっては大切な思い出だった出来事が、もう片方にとっては傷だったり、忘れたい記憶だったりする。そのズレが表に出た時、懐かしい再会や何気ない会話は、静かな緊張を帯びていきます。

登場人物たちは、派手な事件に巻き込まれるわけではありません。けれど、小学校時代の友人、親子、先生と生徒、身近な誰かとの関係の中で、ずっと言葉にされなかった感情が浮かび上がります。自分では美化していた過去、自分の都合よく覚えていた出来事、相手の痛みに気づかなかった時間。そうしたものが、現在の会話の中で不意に姿を現します。

この本の怖さは、幽霊や怪物の怖さではありません。相手と同じ出来事を共有していたはずなのに、見えていた景色がまったく違っていたとわかる怖さです。悪意があったのか、無自覚だったのか、ただ弱かっただけなのか。はっきり線を引けないまま、人間関係の奥にある不穏さが読者の心に残ります。

短編ごとに切り口は違いますが、どの物語にも、言葉にしないまま積もった過去が現在を揺らす感覚があります。人の記憶は、自分を守るために形を変えることがある。そんな当たり前のことが、これほど怖く、切実に響くのだと感じさせる一冊です。

Nearby Shelves

近くの棚を見る

似た読み味と関連トーク

近くの棚: 似た読み味の本

4冊を棚から抜粋

Discover More

この本から広げて探す

テーマ・悩み・著者から次の一冊へ

もっと本を探す

近いジャンルや著者から、今の気分に合う本を続けて探せます。

SNSへの共有

この本をシェアする

あなたへの次のおすすめ

Books / Talks