店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 地方警察で働く人々の、一線を越えそうな心の揺れを読みたい時
- 刺さるポイント
- 三ツ鐘署の七人が出会う事件を通して、職務と個人感情の境目がにじんでいく
- 向いている人
- 短編ごとに違う職種と人生の重みを味わえる警察小説が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、横山秀夫さんの『深追い』をご紹介します。
この作品は、三ツ鐘署に勤める人々を描いた警察小説集です。表題作では、交通課事故係の秋葉が、不慮の事故で亡くなった男と、その男のポケットベルにメッセージを送り続ける女性に引き寄せられていきます。職務として事故を処理するはずだった秋葉は、やがて仕事の範囲を少しずつ踏み越えそうになります。
『深追い』に収められた物語では、鑑識、少年係、会計課長など、警察署のさまざまな立場にいる人物が主役になります。殺人事件の捜査だけが警察小説ではありません。落とし物のように見える違和感、引き継がれた書類、家庭や職場で見過ごされてきた感情。そうした小さな出来事が、その人にとっては人生の見え方を変えるほど大きな事件になっていきます。
横山秀夫さんの短編は、職務の正しさと個人の思いを簡単には分けません。規則に従うべきだと分かっていても、見過ごせない人がいる。深入りすれば傷つくと知っていても、足を止められない瞬間がある。その揺れが、物語に強い人間味を与えています。
『深追い』は、派手な事件解決よりも、働く人が胸にしまっている後悔や執着を読む一冊です。短編ごとに主人公は変わりますが、どの人物にも、仕事をしているだけでは片づかない感情があります。読み終えると、タイトルの「深追い」が、事件だけでなく人の心にも向けられていたことが伝わってきます。
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