店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 海辺の静けさと、喪失のあとに残る記憶を味わいたい時
- 刺さるポイント
- 眠り続ける弟に似た男との出会いが、閉じた心を揺らしていく
- 向いている人
- 恋愛、家族、喪失、再生が重なる感情の深い物語を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、一穂ミチさんの『青を抱く』をご紹介します。
この物語の主人公は、海辺の街に戻ってきた和佐泉です。泉は、海難事故のあと長く眠り続けている弟の世話をするため、実家での日々を送っています。時間が止まったような生活の中、彼は散歩の途中で宗清という男に出会います。その姿は、眠り続ける弟を思い出させるほどよく似ていました。
宗清は人懐っこく、泉へまっすぐに好意を向けてきます。けれど泉にとって、その近さは救いであると同時に苦しさでもあります。弟への思い、失われた時間、誰かを好きになることへのためらい。宗清に惹かれながらも、泉は簡単にはその感情を受け入れられません。
本作の読みどころは、恋愛の始まりを描きながら、喪失と記憶の問題を深く見つめているところです。青い海は美しいだけではなく、過去の事故や戻らない時間を思い起こさせます。それでも、誰かと出会い、言葉を交わし、少しずつ外へ向かっていくことで、泉の中の止まっていた感情が動き始めます。
静かな筆致の中に、痛みとやわらかさが同居している作品です。『青を抱く』は、家族を思う気持ちと恋に向かう気持ちがぶつかる物語であり、失ったものをなかったことにせず、その記憶を抱えたまま生き直していく物語でもあります。深い余韻のある恋愛小説を読みたい人におすすめです。
Nearby Shelves
近くの棚を見る
近くの棚: 似た読み味の本
Discover More