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Vol. 2026.04 特集
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宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ感想

我が道を突き進む成瀬あかりの行動力と、それを見つめる周囲の変化が楽しい青春小説「成瀬は天下を取りにいく」の読後感をまとめました。

宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ感想 のアイキャッチ画像
目次 7セクション

今回は宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ感想を書いていきます。

読んでいて何度も思ったのは、成瀬あかりという主人公の強さは「空気を読まないこと」そのものではなく、やると決めたことを自分の足でやり切るところにある、ということでした。

成瀬は天下を取りにいく

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大きなネタバレは避けて、印象に残ったポイントをまとめます。

「成瀬は天下を取りにいく」の簡単な紹介

物語の舞台は滋賀県大津市です。

中学生の成瀬あかりは、閉店を控えた西武大津店に通い、テレビ中継に映ろうとしたり、M-1に挑戦したり、自分で決めたことを次々に実行していきます。

こう書くと、かなり突飛な主人公に見えます。実際、成瀬の行動は普通ではありません。でも、この作品は成瀬をただの変わり者として消費しません。幼なじみの島崎をはじめ、成瀬を見つめる人たちの視点が入ることで、彼女のまっすぐさが周囲の世界を少しずつ変えていきます。

読んでいて特に印象に残った3つのポイント

1. 成瀬の突き抜け方が気持ちいい

成瀬は、周囲にどう思われるかを必要以上に気にしません。

それは無神経というより、自分の関心に対してとても誠実なのだと思います。やってみたいと思ったら、実際にやる。失敗しそうでも、人に笑われそうでも、まず行動に移す。

このシンプルさが、読んでいてかなり痛快でした。大人になるほど「そんなことをして何になるのか」と先に考えてしまいますが、成瀬はその手前で動き出します。その速さに、少しうらやましさを感じました。

2. 島崎の視点があるから、成瀬が立体的に見える

成瀬一人の物語だったら、もっと奇抜なキャラクター小説として読んでいたかもしれません。

でも、幼なじみの島崎の視点があることで、成瀬の魅力はかなり立体的になります。振り回される側の戸惑い、近くにいるからこその距離感、成瀬を理解しきれないまま隣にいる感じ。その描写がとてもよかったです。

誰かの自由さは、近くにいる人を少し寂しくさせることもあります。この作品は、成瀬の爽快さだけでなく、その周囲にいる人の揺れもきちんと描いているところが好きでした。

3. 大津という街の空気まで楽しい

成瀬は天下を取りにいく」は、青春小説であると同時に、街の物語でもあります。

西武大津店、地元のテレビ、学校、商店街。固有名詞や土地の空気が入ることで、成瀬の行動が架空の突飛さだけではなく、街の記憶と結びついて見えてきます。

地元を舞台にした小説は、場所への愛情が強すぎると内輪っぽくなることもあります。でもこの作品では、大津を知らなくても「この街でこの子が走っている」感覚が伝わってきました。読み終えるころには、少しだけ大津を歩いてみたくなります。

どのような人に読んでもらいたいか

特に、次のような人におすすめです。

  • 明るく読める青春小説を探している人
  • 周囲の目を気にしすぎて疲れている人
  • 地元の空気がしっかり描かれた物語が好きな人

連作短編としてテンポよく読めるので、重い読書が続いたあとにも手に取りやすい作品だと思います。

最後に

この記事では、宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」の読後感をまとめました。

成瀬は、誰かに分かってもらうために動いているわけではありません。自分で決めたことを、自分のやり方でやり切る。その姿が、周囲の人にも、読んでいるこちらにも、少しずつ風穴を開けてくれます。

肩の力を抜きたい時や、最近ちょっと自分を小さくまとめすぎているなと思う時に読みたい一冊です。

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