黒川博行「疫病神シリーズ」の読む順番ガイド|全7作を刊行順で楽しむ理由
黒川博行「疫病神シリーズ」全7作の読む順番を解説。刊行順で読むべき理由と各作品の見どころ、映像化作品の情報もまとめています。
目次 17セクション
「疫病神シリーズ、どの順番で読めばいい?」
直木賞受賞作『破門』で興味を持ったけど、シリーズが7作もあってどこから読めばいいか迷う。
そんな方に向けて、全7作の読む順番と各作品の見どころを整理しました。
この記事のポイント
- 基本は刊行順(第1作→第7作)がおすすめ
- 直木賞受賞の第5作『破門』から読み始めるのもアリ
- 二宮と桑原の凸凹コンビの掛け合いが最大の魅力
疫病神シリーズとは
建設コンサルタントの二宮と、ヤクザの桑原。性格も立場も正反対の二人が、大阪の裏社会で繰り広げるクライムノベルです。
二宮にとって桑原はまさに「疫病神」。関わるたびに厄介ごとに巻き込まれるのに、なぜか毎回コンビを組むことになる。
その腐れ縁が生む緊迫感とユーモアが、シリーズ最大の魅力です。
著者の黒川博行は大阪在住のミステリー作家で、2014年に本シリーズの『破門』で第151回直木賞を受賞しました。
シリーズ全7作の一覧
| 順番 | タイトル | 刊行年 | 舞台・テーマ | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 第1作 | 疫病神 | 1997年 | 産廃利権 | シリーズの原点 |
| 第2作 | 国境 | 2001年 | 北朝鮮 | スケール最大の冒険 |
| 第3作 | 暗礁 | 2005年 | 警察×運送会社の裏金 | 社会派色が強い |
| 第4作 | 螻蛄(けら) | 2009年 | 巨大宗教団体 | シリーズ中盤の転換点 |
| 第5作 | 破門 | 2014年 | 映画出資金詐欺 | 直木賞受賞作 |
| 第6作 | 喧嘩(すてごろ) | 2016年 | 政治家と選挙 | 受賞後第一作 |
| 第7作 | 泥濘(ぬかるみ) | 2018年 | 警察OBの犯罪 | シリーズ最大の危機 |
結論:刊行順で読むのがおすすめ
読む順番は**刊行順(第1作→第7作)**がおすすめです。
理由は3つあります。
1. 二宮と桑原の関係性の変化を追える
第1作では桑原をひたすら忌み嫌っていた二宮が、巻を重ねるごとに微妙な信頼関係を築いていきます。
嫌々ながらもコンビを組み続ける中で生まれる、言葉にはしない絆。この変化を順番に追うことが、シリーズを読む最大の楽しみです。
2. 事件のスケールが段階的に大きくなる
第1作の産廃利権から、第2作では北朝鮮、第3作では警察組織の腐敗、第4作では巨大宗教団体と、事件の規模が巻を追うごとに拡大していきます。
この段階的なスケールアップが、シリーズを通して読む醍醐味です。
3. 第7作のクライマックスが最大限に効く
最新作『泥濘』では、シリーズ史上最大の危機が二人を襲います。
6作分の積み重ねがあるからこそ、その緊迫感は格別です。
各作品の読みどころ
第1作『疫病神』(1997年)
産廃処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた二宮が、ヤクザの桑原と出会うシリーズの原点です。
巨額の利権に群がる政治家、ブローカー、暴力団。大阪の裏社会がリアルに描かれます。
桑原の図々しさに振り回される二宮の姿が可笑しくも切ない。二人の掛け合いの面白さは、第1作の時点ですでに完成されています。
第2作『国境』(2001年)
それぞれ詐欺に遭った二宮と桑原が、騙した男を追って北朝鮮に渡る冒険小説です。
言葉も通じない異国で、常時監視の中を突破していく緊迫感はシリーズ随一。上下巻の長編ですが、息をつかせぬ展開で一気に読ませます。
大阪の路地裏から一気に国際舞台へ。シリーズのスケールを大きく広げた転機となる一作です。
第3作『暗礁』(2005年)
警察と癒着する大手運送会社の裏金に目をつけた桑原に、二宮が引きずり込まれていきます。
賭け麻雀の場面から始まる導入が巧みで、組織ぐるみの腐敗に切り込む社会派色の強い一作。上下巻ですが、テンポの良さは変わりません。
第4作『螻蛄(けら)』(2009年)
巨大宗教団体のスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた二人が、腐敗した刑事や極道との騙し合いに挑みます。
タイトルの「螻蛄」は地中に潜む虫の意味。表からは見えない金の流れと、それに群がる者たちの姿が重なります。
シリーズ中盤の転換点で、二宮と桑原の関係性にも微妙な変化が生まれる一作です。
第5作『破門』(2014年)― 直木賞受賞作
映画製作の出資金を持ち逃げされた二人が、詐欺師を追う追跡劇。第151回直木賞受賞作です。
本作では桑原が組から「破門」される事態に陥り、ヤクザとしての後ろ盾を失います。それでもなお突き進む桑原の姿に、この男の本質が浮かび上がります。
シリーズを通じて磨き上げられたコンビネーションと、テンポの良い大阪弁の掛け合いが最高潮に達する、シリーズの代表作です。
第6作『喧嘩(すてごろ)』(2016年)
議員秘書の旧友と再会した二宮が、選挙にまつわるヤクザ絡みのトラブルに巻き込まれます。
政治と暴力団の癒着という重いテーマを扱いながらも、二宮と桑原の掛け合いは健在。タイトルの「すてごろ」は素手の殴り合いを意味し、後ろ盾も武器もなく己の力で勝負する桑原の生き方を象徴しています。
直木賞受賞後の第一作として、シリーズの勢いが衰えていないことを証明した力作です。
第7作『泥濘(ぬかるみ)』(2018年)
老人を食い物にする警察官OBグループに挑む二宮と桑原。しかし今回の相手は手強く、二宮は拉致され、桑原は銃撃を受けて心肺停止に陥ります。
シリーズ史上最大の危機が待つ第7弾。6作分の積み重ねがあるからこそ、この窮地が胸に迫ります。
タイトル「泥濘」が示すように、抜け出せないほど深い闇の中でも前に進もうとする二人の姿は、シリーズの到達点です。
映像化作品
疫病神シリーズは映像化もされています。
| 作品 | 形式 | 年 | キャスト(二宮 / 桑原) |
|---|---|---|---|
| 破門 | ドラマ(BSスカパー!) | 2015年 | 濱田岳 / 北村一輝 |
| 螻蛄 | ドラマ(BSスカパー!) | 2016年 | 濱田岳 / 北村一輝 |
| 破門 ふたりのヤクビョーガミ | 映画(松竹) | 2017年 | 佐々木蔵之介 / 横山裕 |
北村一輝と濱田岳のコンビによるドラマ版は、原作の空気感を忠実に再現していると評価されています。
原作を読んでから映像を観ると、大阪弁の掛け合いがさらに活き活きと感じられるはずです。
よくある質問
FAQ
1作だけ読むなら何がおすすめ?
直木賞受賞作の『破門』がおすすめです。シリーズの魅力が凝縮されていて、単独でも楽しめます。
上下巻の作品はどれ?
『国境』(文春文庫)と『暗礁』(幻冬舎文庫)が上下巻です。どちらもテンポが良いので長さは気になりません。
文庫はどの出版社で揃えればいい?
角川文庫版がシリーズを揃えやすいです。ただし『国境』は文春文庫、『暗礁』は幻冬舎文庫、『泥濘』は文春文庫から刊行されています。
続編の予定はある?
2024年時点で第8作の刊行は発表されていませんが、シリーズが完結したという公式発表もありません。
まとめ
疫病神シリーズは、刊行順に読むのが一番おすすめです。
二宮と桑原の関係性の深まりと、事件スケールの拡大を同時に楽しめます。
大阪弁のテンポの良い掛け合いと、裏社会のリアルな描写。笑えて、ハラハラして、最後にはこの凸凹コンビが愛おしくなる。
迷ったら、まずはシリーズの原点『疫病神』を手に取ってみてください。
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